【医師監修】腸を健康に! 第3回: 腸管バリア力を高めよう

腸管バリア力はどう鍛える?
腸管バリア力が高い状態とは、腸の防御機能がしっかり働き、病原菌やウイルス、有害物質の侵入を防ぐ状態です。これにより、全身の免疫機能が正しく働き、健康をキープしやすくなります。つまり、腸管バリア力=身体のバリア力と言っても過言ではありません。
このバリア力を高めるカギとなるのが、腸を健康に保つ生活習慣です。なかでも、特に重要なのが食生活。小腸の免疫機能を直接活性化する「グルタミン」など、腸に良い成分を含む食品をしっかり摂ることで、腸内環境と免疫機能が向上します。
さらに、腸を元気に保つ生活リズムやライフスタイルにも気を配ることで、その効果はより高まります。
腸管バリア力を高める主な成分
ここでは、腸管バリア力を高める代表的な栄養素をご紹介します。
① グルタミン
グルタミンは、体内で合成可能な「非必須アミノ酸」ですが、ストレスや病気のときには需要が増えるため、「条件付き必須アミノ酸」とも呼ばれます。小腸の免疫細胞のエネルギー源となり、腸管バリアを支える重要な役割を果たします。
含まれる食品:生魚、生肉、生卵、発芽玄米など
➡️詳しくはこちら:グルタミンってなんだろう?
② 酪酸(短鎖脂肪酸)
酪酸は、腸内細菌によって作られる短鎖脂肪酸の一種で、特に大腸の健康維持と免疫機能の調整に関与します。腸内環境を整えるためには、酪酸を産生する腸内細菌を育てることが大切です。
ポイント:水溶性食物繊維(きのこ、海藻、大麦など)やオリゴ糖をしっかり摂ることで、酪酸産生菌が活性化されます。
➡️詳しくはこちら:酪酸のパワー <近日公開>
③ 亜鉛
亜鉛は鉄に次いで体内に多く存在するミネラルで、酵素やたんぱく質の働きをサポートします。腸の粘膜修復にも関与し、腸管バリアの維持に不可欠です。
含まれる食品:牡蠣、卵(黄身)、ナッツ類、ココアなど
➡️詳しくはこちら:見えないバリアを守るミネラル亜鉛 <近日公開>
④ 乳酸菌
乳酸菌は、腸内の善玉菌の代表格。腸内環境を整えることで、間接的に腸管バリア力を高め、免疫機能のバランスをサポートします。
含まれる食品:ヨーグルト、漬物、発酵食品など
➡️詳しくはこちら:「乳酸菌」と「ビフィズス菌」<近日公開>
⑤ オリゴ糖
オリゴ糖は、腸内の善玉菌(特にビフィズス菌)のエサとなる「プレバイオティクス」として機能し、善玉菌の働きを助けます。消化されにくいため、腸まで届いて腸内環境を整えます。食物繊維と同様に、酪酸産生菌のエサにもなります。
含まれる食品:玉ねぎ、バナナ、りんごなど。また、市販のオリゴ糖シロップも活用できます。
➡️詳しくはこちら:はじめてのオリゴ糖ガイド <近日公開>
腸を内側から元気にして、健やかな毎日を送りましょう!
🔁 シリーズ記事一覧
第1回:まずは腸のしくみを知ろう
第2回:腸は“第2の脳”!? 免疫を支える「腸管バリア」とは?
第3回:腸管バリア力を高めよう
監修:松生恒夫1995年東京生まれ。医学博士。松生クリニック院長。東京慈恵会医科大学卒業。同大学第三病院内科助手、松島病院大腸肛門病センター診療部長などを経て、2003年、東京都立川市に松生クリニックを開業。6万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた腸疾患治療の第一人者。便秘外来の専門医として地中海式食生活、漢方治療、音楽療法などを取り入れた診療で効果を上げている。著書に『子どもの便秘は今すぐなおせ』(主婦の友社)、『見た目は腸が決める』(光文社)、『「腸の老化」を止める食事術』(青春出版社)、『日本一の長寿県と世界一の長寿村の腸にいい食事」(PHP研究所)など多数。 ■松生クリニックHP https://matsuikeclinic.com |