肌荒れの原因は腸にある?肌と腸内フローラの意外な関係

スキンケアをしてもなかなか肌トラブルが改善しない…そんな方は、肌だけでなく「腸」もケアする必要があるかもしれません。近年、美容と健康の分野で注目されているのが「菌叢(きんそう)」と呼ばれる、体内外の常在菌のバランスです。
実は、肌にも腸にも菌叢が存在し、それぞれが美肌の鍵を握っているのです。この記事では、「肌の菌叢」と「腸内フローラ」の関係、そして腸内環境を整える食品について詳しく解説します。
肌にも棲む“菌”が美肌を守っている
皮膚の表面には約1兆個以上の常在菌が棲みついており、これらは皮膚のバリア機能や免疫をサポートしています。この菌叢のバランスが保たれていると、外部刺激に強く、潤いのある肌を維持することができます。
しかし、過剰な洗顔や刺激の強い化粧品によって常在菌が減少すると、バリア機能が弱まり、ニキビや赤み、乾燥などの肌トラブルを招くことに。
腸内フローラと肌のコンディションはつながっている
腸内にも「腸内フローラ」と呼ばれる細菌群が存在し、この腸内環境が乱れると肌にも悪影響が出ることがわかってきました。腸内で悪玉菌が増えすぎると、有害物質や炎症物質が生成され、血液を通じて全身を巡り、肌荒れやくすみの原因に。
また、腸と脳、そして皮膚は「腸脳皮膚相関」としても知られ、ストレスや生活習慣が腸内環境を乱し、それが肌へと影響するケースもあるのです。
腸内フローラを整える食品:美肌のための“菌活”食材とは?
腸内環境を整えることで、肌の調子も整いやすくなります。特に以下のような食品は、腸内フローラに良い影響を与えます:
● 発酵食品(プロバイオティクス)
ヨーグルト、納豆、キムチ、ぬか漬け、味噌など
→ 善玉菌を直接補う働きがあります。
● 食物繊維(プレバイオティクス)
ごぼう、バナナ、りんご、海藻、きのこ類など
→ 善玉菌のエサとなる成分で、腸内で善玉菌を増やすのに役立ちます。
● オリゴ糖
含まれる食品:大豆、玉ねぎ、バナナ、アスパラガス、はちみつなど
→ オリゴ糖はプレバイオティクスの一種で、ビフィズス菌など善玉菌の増殖を促進します。
腸に届くと善玉菌が活発化し、腸内バランスを整える手助けをします。市販のオリゴ糖シロップなども活用できます。
美肌のために意識したい生活習慣
腸と肌の健康を保つには、食事だけでなく日々の生活習慣も大切です。
十分な睡眠:腸内環境と肌の再生に不可欠
ストレスをためない:ストレスは悪玉菌を増やす原因に
適度な運動:腸の動きを活性化させる
洗いすぎないスキンケア:肌の常在菌を守る
まとめ:腸と肌の“菌活”で内側から美肌へ
肌トラブルの原因が、実は腸内環境の乱れだったというケースは少なくありません。腸内フローラを整えることで、肌本来の美しさを引き出すことができます。
特に、発酵食品や食物繊維、そしてオリゴ糖を積極的に取り入れることで、善玉菌をサポートし、腸も肌も健やかに。内側から輝く美肌を目指して、今日から“菌活”を始めてみませんか?
参考情報
- 飯塚量子ら、腸内細菌学雑誌 25巻2号 2011
監修:藤田孝輝1960年生まれ。理学博士。1985年山形大学大学院農学研究科修了後、塩水港精糖㈱入社。在籍中に乳糖果糖オリゴ糖製造酵素生産菌を発見。この発見は、家庭用オリゴ糖類食品の国内での普及に大きく貢献。同社糖質研究所研究室長、研究所長を経て、同社常務取締役生産開発グループ長、関西製糖㈱代表取締役社長を歴任。山形大学・日本大学・園田学園女子大学・熊本大学・愛国学園短期大学にて非常勤講師も務めるなど、教育活動にも携わる。現在は塩水港精糖㈱理事・糖質研究所長、日本応用糖質科学会理事を務める。 |