コラム

糖類・糖質・炭水化物の違いとは?

「糖」のホントの姿、ちゃんと理解していますか?

スーパーやコンビニで見かける「糖質ゼロ」「糖類オフ」「無糖」といった表示。
健康志向が高まるなかで、こうした言葉を目にする機会が増えていますが、「糖質って全部カットしたほうがいいの?」「糖類と糖質ってどう違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?
実は、糖質や糖類は「体に悪いもの」ではなく、エネルギーをつくるために欠かせない栄養素です。
この記事では、「糖類・糖質・炭水化物」の違いを図解でわかりやすく整理しながら、体にうれしい“糖との付き合い方”を考えるヒントをお届けします。


糖類・糖質・炭水化物の違いって?


まずは全体像をつかもう

糖の関係性を図で見ると、全体像がつかみやすくなります。
「糖類」「糖質」「炭水化物」は別々のものではなく、階層的につながった関係にあります。

✓図で見る!糖の関係性

図のとおり、炭水化物 > 糖質 > 糖類という関係になっています。
糖質は私たちの体や脳を動かすための主要なエネルギー源。
一方、食物繊維は消化吸収されずに腸まで届き、腸内環境を整えるサポート役です。
つまり、炭水化物は「糖質」と「食物繊維」からできており、それぞれが異なるかたちで私たちの健康を支えています。


炭水化物とは?


毎日のエネルギーと腸を支える栄養素

炭水化物とは、「糖質」と「食物繊維」を合わせた総称です。
ごはん、パン、果物、イモ類など、日常的に口にする食品の多くに含まれています。

  • 糖質:体や脳のエネルギー源になる
  • 食物繊維:腸内環境を整え、便通を助ける


炭水化物は“悪者”ではなく、私たちの生命活動を支える基本的な栄養素なのです。


糖質とは?


糖類もでんぷんも含まれる“エネルギー源”

糖質とは、炭水化物の中から「食物繊維」を除いた部分。
つまり、体内で消化・吸収されてエネルギーになる栄養素のことです。

糖質には主に次のような種類があります:

  • 糖類(単糖類・二糖類)
  • でんぷん(米や芋類などに多い)
  • 糖アルコール(キシリトールなど)


それぞれ、吸収スピードや体への働きが異なります。


糖類とは?


甘さを感じやすいグループ

糖類は、糖質の中でも「単糖類」や「二糖類」と呼ばれるグループ。
私たちが「甘い」と感じるものの多くが、この糖類に分類されます。

主な糖類の例

  • 単糖類:ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)
  • 二糖類:ショ糖(砂糖)、乳糖(ラクトース)、麦芽糖(マルトース)


これらはすばやく吸収され、すぐにエネルギーとして使われます。
運動時や集中したいときのエネルギー補給には、むしろ欠かせない存在です。


「糖質ゼロ」と「糖類ゼロ」…その違い、知っていますか?


表示の違いを正しく理解しよう

商品パッケージに書かれている「ゼロ」表示には、法律で決められた基準があります。

パッケージに「糖質オフ」や「糖類ゼロ」と書かれていても、その分ほかの成分(脂質や添加物など)が多く含まれている場合もあります。
そのため、成分表示欄を見て全体のバランスを確認することが大切です。


上手に取り入れるコツ


糖と“バランスよく”つきあうために

炭水化物は、私たちの体に欠かせないエネルギー源。その中に含まれる糖質や糖類も、体や脳を動かすうえで大切な栄養素です。
大切なのは、目的や体調に合わせて上手に選ぶこと。

たとえば、

  • 活動前や集中したいとき → 糖類で即エネルギー補給
  • 血糖値の急上昇が気になるとき → ゆっくり吸収される糖質や食物繊維を意識
  • 腸内環境を整えたいとき → オリゴ糖や水溶性食物繊維をプラス

「全部避ける」より、「うまく使い分ける」ことが、健康的な食生活の鍵です。


まとめ|糖とのつきあい方が、毎日の心地よさをつくる


糖は「悪者」ではありません。
正しく理解して取り入れれば心も体も元気に保つための味方になります。

毎日の食事の中で、自分に合った“ちょうどいい糖のバランス”を見つけていきましょう。


参考情報

監修:藤田孝輝

1960年生まれ。理学博士。1985年山形大学大学院農学研究科修了後、塩水港精糖㈱入社。在籍中に乳糖果糖オリゴ糖製造酵素生産菌を発見。この発見は、家庭用オリゴ糖類食品の国内での普及に大きく貢献。同社糖質研究所研究室長、研究所長を経て、同社常務取締役生産開発グループ長、関西製糖㈱代表取締役社長を歴任。山形大学・日本大学・園田学園女子大学・熊本大学・愛国学園短期大学にて非常勤講師も務めるなど、教育活動にも携わる。現在は塩水港精糖㈱理事・糖質研究所長、日本応用糖質科学会理事を務める。

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